2021.03.05

海と川、領域や分野を超えた生態系の保全を目指して(金光学園中学・高等学校)

研究テーマ名:モクズガニの遡上に影響を与える堰の条件の解明
研究代表者:田中 宏樹
研究代表者所属校:金光学園中学・高等学校

研究活動など全くやったことがない高校生が、大学の先生が行う出前実験教室をきっかけに初めての研究活動に取り組みました。なんとなく海の保全活動に興味を持っていたところから、一つのきっかけから大きな研究テーマへと魅せられていく、その軌跡を追ってみました。

海と川をつなぐ不思議な生き物に魅せられて
研究はやったことがないけれど、海の生き物の研究をやってみたい。田中君は、マリンチャレンジプログラムではじめて研究に取り組み、全国大会まで進みました。海の生き物に興味をもったきっかけは、学校で開催されたカワエビ出前教室。岡山大学環境理工学部の研究者が開催する出前教室で、海と川を行き来して暮らす、回遊性のエビが存在することを知りました。回遊性の生き物というと日本人には鮭がよく知られていますが、多くの水棲生物は淡水か海水のどちらかでしか生きられません。海と川を行き来できる特別な能力に惹かれて、その後も実験教室に足を運び、いつしか海洋生物の保全をしたいと考えるようになりました。

研究という海への出発
はじめに研究テーマとして考えたのは出前教室で見たエビの研究です。しかし、中田先生に相談する中でエビは種の判定が難しく最初のテーマとしては向かないということが分かりました。同じく回遊性の生物を探してみると、モクズガニというカニが研究対象に合致しました。モクズガニは回遊性で種の判別もしやすい。回遊性のある生物を研究するということは、海から川へ、川から産卵地域への遡上経路の研究へと繋がります。モクズガニの研究が河川の生き物の保全、ひいては川から海へとつながる環境の保全活動の基礎になるのではないかと考え、研究に着手しました。

左図:モクズガニを採集する様子 右図:モクズガニが生息する河川のバルーン堰

分野・領域を超えた生態系の保全を目指して
モクズガニを調べていくと、地元岡山県の名産品であることや、一方で近年漁獲量が減ってきていることが分かってきました。この頃にはモクズガニのみの研究ではなく、人と自然のバランスのとれた関係や、海洋資源の保全にも関心が出てきたといいます。今回の研究では、モクズガニなど回遊性の生き物の遡上を阻害しない堰の構造について研究し、高校生の間に成果をまとめ切りたいと考えています。
モクズガニの研究は環境保全活動の一部分であるという田中くん。今回はモクズガニの生態と堰の構造という、生物と工学の分野の研究を行いましたが、大学進学後は河川全体の生態系や社会との繋がりも考慮した上での保全活動ができるように学んでいきたいと考えています。様々な研究領域を行き来しながら、分野を超えて生態系保全の実現を目指す、田中くんの研究活動に引き続き注目してください。

海と日本PROJECT
このイベントは、海と日本PROJECTの
一環で実施しています
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