10月27日(金)、岩手県立高田高等学校(岩手県陸前高田市) にて、第26回全国水産・海洋高等学校生徒研究発表会 東北地区大会が開催され、マリンチャレンジ北海道・東北大会にエントリーした岩手県立宮古水産高等学校、山形県立加茂水産高等学校が出場した※。
「水産業と地域の活性化を目指して!(エゾイシカゲ貝 商品化プロジェクト)~陸前高田の向かい風~」(高田高校)が最優秀賞を受賞し、12月7日に宮崎県で実施される全国大会に出場する。
水産、海洋高等学校の生徒が、日常の学習・研究成果を発表し、主体的に学習する態度や創造性を高め、問題解決能力の育成と水産・海洋関連産業の振興を行う事を目的として、今回が26回目の開催となる。
当日は東北地方6県の水産・海洋高等学校から校内選抜を勝ち進んだ9件が、研究成果を発表した。
研究テーマは、海洋エネルギー、養殖・加工技術、商品開発と多岐に渡り、特にアイナメ、ハタハタ、エゾイシカゲ貝等、地域で消費されることが多いマイナー魚種の資源活用に着目したものが目立った。
最優秀賞を受賞した高田高校は、陸前高田市の主産業である漁業の不漁や、産業従事者の不足という課題に着目。地元で注目されながら調理法や入手時期を限られてきたエゾイシカゲガイの加工食品を作り、名産品として全国展開を狙う事で水産業及び地域の活性化につなげる事を目的とし研究開発を実施した。取組に注目し、協力体制を築いた勲章料理人として名高い大田忠道氏の助言を元に、貝だけではなく、地元の名産品であるウニとアオサを合わせた炊き込みご飯の素を開発した。
地域の水産業に吹く向かい風に立ち向かい、追い風を吹かせたいという「夢」と、エゾイシカゲ「貝」とウニ(三陸で「カゼ」と呼ばれる)を缶詰に詰め、「陸前高田の夢貝(むかい)かぜ」を商品名とした。
業者との交渉の努力が実り「ふるさと納税の返礼品」に決定するなど、今後の広がりに期待が高まる。
東北地区水産高等学校長協会 地区長 平川信重氏(秋田県立男鹿海洋高等学校校長)は「漁獲高の制限や気候変動に伴う水産資源の減少に伴い、今後マイナー魚種等未利用資源の有効活用や、循環的な利用が求められるのは明らかである。大人の視点だけではなく、高校生の視点や発想で水産業を盛り上げていきたい」と講評した。
この後、最優秀賞を受賞した高田高校は、12月7日に宮崎県で実施される全国大会に出場する。
<参加校とテーマ>(並びは発表順)
- 宮城県立気仙沼向洋高等学校「食品素材としてのワカメの利用」
- 福島県立いわき海星高等学校「神白川流域の水環境を考える」
- 岩手県立高田高等学校 <最優秀賞>「水産業と地域の活性化を目指して!(エゾイシカゲ貝 商品化プロジェクト)~陸前高田の向かい風~」
- 岩手県立宮古水産高等学校 <優秀賞>「「宮古の真鱈」でにぎわいの創出」
- 青森県立八戸水産高等学校「旨みの境地、ここにあり」
- 山形県立加茂水産高等学校「山形県沖におけるメタンハイドレートの探索~SPH活動による3年間の研究より~」
- 宮城県立水産高等学校 <優秀賞>「3代目ユメミタイ「アクアポニクス7号機誕生」~課題挑戦でユメミタイ~」
- 秋田県立男鹿海洋高等学校「ハタハタ雌・雄選別機の制作」
- 岩手県立久慈東高等学校「久慈のギンポを宝にするために~マイナー魚種に着目する試み~」
※マリンチャレンジ地区大会とは別テーマでの発表となる。
(2017.10.29 百目木幸枝)