2018.06.01

someone vol.43「となりの理系さん」田中絢音さん(かえつ有明高等学校)

 田中さんは今年の3月,全国から選ばれたチームが集まるマリンチャレンジプログラム全国大会で「トビハゼの転がる方向に規則性はあるのか」という研究を発表,最優秀賞を受賞しました。じつは研究自体がそもそも初めての挑戦で,最初はどうやって研究を初めていいかわからなかったそう。彼女はいかにして大躍進を遂げたのでしょうか。

◆研究をしたいと思ったきっかけは?

 もともと海の生きものに興味があって,水族館でのボランティアもしていました。あるとき,学校で他の生徒の研究発表を見て,自分もやってみたいと思ったのです。そこで先生から紹介されたのがマリンチャレンジプログラムでした。どうやってテーマを決めたらいいのか,研究アドバイザーに相談すると,研究対象に興味がわくこと,方法が嫌いじゃないこと,やってみようと思ったときにすぐできることというポイントを教えてもらいました。

 

トビハゼの転がりに着目したのは?

 テーマを考えるため,水族館で魚を見つめてみることにしたのですが,そこでトビハゼがコロン,コロンと転がっているのがふと目に入ったのです。そのとき,水族館の人から「魚にも右利き,左利きがある」と聞いたことを思い出し,トビハゼの転がりにもそれがあるのかもしれないと考えました。水族館の人に聞いてみたら,まだわかっていないとのこと。その瞬間,自分が何としてでも調べてみたいと思いました。

 

転がる方向に規則性はあったのですか?

 左右交互に転がる傾向があることがわかり,次になぜ転がるのかが気になりました。そこで細かく観察すると,胸ビレを使って歩く回数が多いものほど転がる傾向があることを発見したんです。た,彼らの筋肉を観察したところ,歩くのに必要なトビハゼ特有の筋肉があることがわかりました。このことから,その筋肉をストレッチするために転がるのではないかという仮説を考えました。このように,仮説を立てて実験をしてみるとまた新しい仮説が生まれ,それを検証してみたい気持ちが次々にわいてきて,すごく楽しかったです。やってみたい!という気持ちがあれば誰でも研究はできるんだと感じ,将来,海洋研究者になりたい気持ちがずっと強くなりました。

 

田中さんは新しい発見を楽しみながら世界を広げていく冒険者」

 トビハゼ愛にあふれている田中さん。トビハゼが岩にからだをすってしまったときには痛そうと思ったり,水の中で転がるのを見て気持ちよさそうだなと思ったりなど,その気持ちまで考えてしまうそうです。わかっていないことに突き進んでいく研究の魅力にはまり込み,次々に出会う発見を楽しみながら,世界を広げていっています。そんな彼女の冒険はこれからも続くことでしょう。

海と日本PROJECT
このイベントは、海と日本PROJECTの
一環で実施しています
PAGE TOP