研究自体は2年目というこのチーム。地方大会では、圧倒的なデータ量を見せて優秀賞を勝ち取りました。研究に打ち込むその原動力やきっかけは何だったのでしょうか。彼らの真髄に迫ります。
「タイワンシジミ」はどうやって動くのだろう?
タイワンシジミの研究を始めたのは、研究代表者の中村くんがプラナリアの研究をしていた先輩の調査についていったことがきっかけでした。その時ふと目にしたシジミに対して「プラナリアは動けるけれど、シジミはどうやって移動するのだろう?」という素朴な疑問をもったことがきっかけでタイワンシジミチームを立ち上げ研究がスタートしたのです。
調査から研究の世界へ
中村くんはまず、様々な文献を探してタイワンシジミの理解を深めることにしました。すると、タイワンシジミは要注意外来生物に指定されており、日本に移入されて以降生息範囲を拡大し、在来のヤマトシジミの生息環境を奪っているのではないかと考えられていることが分かりました。そこで調査によってタイワンシジミの拡大を防ぐことで在来種を守るという研究の目的が出来たのです。生息域の拡大を防ぐためにはまず、タイワンシジミの移動方法を明らかにする必要があります。そのためひたすらデータを集めました。ある地点にいた貝がどこまで移動するのかを知るために、捕獲した個体にマークをつけて放し、数日後、1週間後に再捕獲します。屋内実験、野外実験共に実施し多くのデータを得ることが出来ました。
特に野外実験は条件を整えるのが難しい。力仕事も多く、本当に大変だったといいます。「大変さよりも、疑問を解決したいという想いがつよくやり遂げることができました」と中村くんは話します。
左図:タイワンシジミを採集する様子 右図:タイワンシジミの成貝と稚貝 |
メンバー各々の次なるチャレンジ
タイワンシジミの一番おもしろいと思うところを尋ねると、稚貝と成貝で、移動の様式がちがう可能性があることだと教えてくれました。「今回、成貝の移動方法が少し明らかになってきたところですが、最終的には稚貝の移動方法を明らかにしたいです」と中村くんは語ります。この研究チームのメンバーは6人。魚好きはもちろん、医療分野、遺伝学、経済学に興味がある人など、様々な方面に興味をもつメンバーで構成されています。タイワンシジミの謎の解明にも没頭している彼らが、この研究を通して世界で初めて謎を明らかにすることの難しさやおもしろさを学んだことは、きっと彼らの人生にとって大きな糧となってくれるでしょう。