学校近くの海を調査しているときに偶然採集したホンベラ。理科室の水槽でこのホンベラを飼育していたところ、水槽の砂がボコボコしていることに気づきました。じっくり観察すると、砂に潜って身を隠したり、ある時は砂の上でスヤスヤ寝ていたり。この気ままなかくれんぼにぐっと興味を惹かれ研究がスタートしました。
もういいかい?かくれんぼの秘密が知りたい!
水槽に近づくと、砂の中にパッと潜ってしまう。でも、時間をおいて部活の後で覗いてみると砂の上で寝ています。「どうして砂に潜るんだろう」、「何が潜るきっかけなんだろう」観察すればするほど、たくさんの疑問が浮かんできました。みんなで話し合ううちに、いつしか研究活動はスタートしました。「研究をしたことはありませんでしたが、自分たちもホンベラの奇妙な行動の謎を明らかにしたいと思ったんです」どのチームにも負けない強い好奇心と観察力で、見事全国大会へ出場する権利を獲得するに至りました。
なぜ?を自分たちで突き詰めていく
初めての研究活動は、ホンベラについてこれまでにどこまで明らかにされているのか、他にどんな生物が似た行動を取るのか、論文を調べ、その生物について深く知るところからスタートしました。すると、だんだんと自分たちの疑問に対して仮説を立て、検証する方法を生み出せるまでになりました。実験ではどうして砂に潜るのか、その理由を解明するために、砂潜り行動が嗅覚、聴覚、視覚のうち、どの感覚からの影響を受けているのかを調べました。ホンベラが怖がらないように定点カメラを設置し、行動の録画し、その記録を詳しく解析しました。「慣れない動画解析はとても難しく、1分の行動を動画から解析するのに、1時間もかかり辛かったです。でも、自分たちの疑問を、自分たちが考えた研究手法で明らかにできた時は本当に嬉しかったです」と小林さんは笑顔で話します。
左図:ホンベラを採集する様子 右図:動画を解析する様子 |
ひたむきな姿勢で疑問に向き合う
振り返ると、予測した結果が出ないことも多くありました。しかし、諦めず実験を繰り返すうちに、砂潜り行動が、特定の周波数の音や視覚情報に大きく依存している可能性を明らかになってきました。「実はフグもホンベラと同じように砂に潜るんです。同じような情報に影響されて潜るのか?いつか、その謎も明らかにしてみたいです」と、メンバーの1人は楽しそうに話します。研究活動に事前の知識や経験は関係ありません。大切なのは、明らかにしたい疑問を解決するまで諦めない心。どのチームにも引けを取らないひたむきな努力の結晶は、素晴らしい研究成果となって新たな真実を明らかにします。