生物相を調べる研究は,対象地域の生物多様性を理解するとともに,出現種の地理的分布などの生物学知見を集積するための重要な基礎研究になります。こうした研究は,対象範囲を設定し,その範囲内に生息する対象分類群を網羅的に採集・同定するというところで完結しており,定性データ(生データ)の状態で論文化されるのが一般的です。この定性データを収集するだけでも十分な価値がありますが,チームはもっと発展的な研究に取り組もうとしています。チームが研究対象とする石川は,幸いにも大阪府内の河川では比較的よく魚類相調査が行われており,複数の年代で行われた調査記録が文献資料や標本資料として残されています。したがって,定性データに時間軸を与えてその変遷を見ることができる優れたフィールドです。このフィールドの優れた特性を存分に活かして研究を頑張ってもらいたいです。